<メッセージ> |
「マリア」 |
「ラボニ」 |
マリアは復活のイエス様に会ったのでした。 |
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●マグダラのマリア |
マグダラのマリア。 |
彼女は、ガリラヤ湖の西の岸にある町マグダラで生まれました。 |
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その生い立ちは分かりません。 |
でも、たくさんの苦しみに出会ってきたことはわかります。 |
他の福音書には、七つの悪霊に取りつかれていた、と書かれています。 |
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病気、精神的な病、人々の仕打ち、冷たい視線、数え切れない出来事が、彼女 |
を打ちのめしました。 |
抱えきれない苦しみ痛みに心はずたずたです。 |
彼女は生きていく場所を失っていました。 |
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●イエス様と出会う |
マリヤもイエス様も同じく、ガリラヤ湖周辺の町に居ます。 |
ある日、彼女はイエス様に会ったのでした。 |
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イエス様は彼女の苦しみをわかってくださいました。 |
苦しむ彼女をそのまま丸ごと受け入れてくださいました。 |
イエス様に受け入れていただいて、彼女はこれまでのすべての苦しみから解き |
放たれたのでした。 |
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●イエス様のお世話 |
新しい生活が始まります。 |
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ルカによる福音書にはこのように記されています。 |
「8:1 イエスは神の国を宣べ伝え、その福音を告げ知らせながら、町や村を巡っ |
て旅を続けられた。十二人も一緒だった。 |
8:2 悪霊を追い出して病気をいやしていただいた何人かの婦人たち、すなわち、 |
七つの悪霊を追い出していただいたマグダラの女と呼ばれるマリア、 |
8:3 ヘロデの家令クザの妻ヨハナ、それにスサンナ、そのほか多くの婦人たち |
も一緒であった。彼女たちは、自分の持ち物を出し合って、一行に奉仕していた。」 |
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イエス様が行かれる所どこにでもついて行って一行に奉仕する女性達の中に、 |
マリアもいます。 |
イエス様のおそばにいて、身の回りのお世話が出来ることは、何と嬉しいことで |
しょうか。 |
彼女は生きる場所を得たのでした。 |
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●エルサレムへ |
やがてイエス様はガリラヤを離れエルサレムに向かわれたのでした。 |
女性達は、もちろんマリアも、イエス様一行について行きます。 |
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イエス様が行かれる場所は問題ではありません。 |
イエス様がおられるところがマリアの居るところ、イエス様一行のお世話をする |
喜びに変わりはありません。 |
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●十字架・埋葬 |
ところがイエス様から引き離される出来事が起こったのです。 |
イエス様が捕らえられたのでした。 |
そして、十字架にかけられてしまったのです。 |
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十字架にかけられたイエス様を、大勢の女性達が遠くから見守っていました。 |
ガリラヤからイエス様に従って来て世話をしていた女性達です。 |
その中に、マリヤもいました。 |
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ついにイエス様は十字架上で息を引き取られました。 |
アリマタヤのヨセフがイエス様の遺体を墓に納めました。 |
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マリアはその間もずっとイエス様から目を離すことはありませんでした。 |
どうしてイエス様から離れることが出来ましょうか。 |
イエス様のおそばがマリアの生きる場所なのです。 |
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●安息日 |
安息日になりました。 |
この日は何も出来ません。 |
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じっと座り込んでいると、イエス様の姿が思い出されます。 |
あの時のこと、この時のこと、 |
『でもイエス様はもう居ない』 |
思い出しては泣き、泣き続けて一日が過ぎていきました。 |
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●墓へ |
安息日が終わりました。 |
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一刻も早くイエス様のところに行きたいです。 |
夜明けを待ちきれず、マリアはイエス様のお墓に向かいました。 |
マリアの居場所はイエス様のおそば、これからはイエス様の遺体を納めた墓 |
の墓守をして生きていくのです。 |
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ところが、イエス様の遺体がなくなってしまっていたのでした。 |
慌てふためいて弟子達に知らせに行くマリアでした。 |
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●復活のイエス様 |
墓に駆けつけた弟子達は、墓が空であることを見届けると、家に帰ってしまい |
ました。 |
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でもマリアは帰ることが出来ません。 |
マリアは墓の外に立って泣いていました。 |
イエス様を失って、その上遺体までも失ってしまったのです。 |
もう生きる場所がありません。 |
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泣きながら身をかがめて墓の中を見ると、そこには天使がいて言いました。 |
「婦人よ、なぜ泣いているのか」 |
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マリアは言います。 |
「わたしの主が取り去られました。どこに置かれているのか、わたしには分かり |
ません。」 |
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そう言っているときに、背後に人の気配を感じます。 |
後ろを振り返ったマリアに、その人は言います。 |
「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」 |
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「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。わ |
たしが、あの方を引き取ります。」 |
マリアは、園丁だと思ったのでした。 |
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墓を見続けるマリアは、声を聞きます。 |
「マリア」 |
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聞き慣れた声でした。 |
毎日聞いていた声でした。 |
イエス様の声でした。 |
振り向いたマリアは、そこにイエス様がおられるのを見ました。 |
「ラボニ」 |
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マリアは復活のイエス様に会いました。 |
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●私達の物語 |
マグダラのマリアの物語は、私達自身の物語です。 |
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私達は死んだ人が復活することなどあり得ない、と思っています。 |
墓が空だと聞けば、誰かが持ち去った、と思います。 |
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マリアもそうでした。 |
弟子達に |
「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かり |
ません。」 |
と言います。 |
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天使達に |
「わたしの主が取り去られました。どこに置かれているのか、わたしには分かりま |
せん。」 |
と言います。 |
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後ろに立っている人を園丁だと思って |
「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。 |
わたしが、あの方を引き取ります。」 |
と言います。 |
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3度も同じ事を言っています。 誰かがイエス様の遺体を持ち去った、としか考え |
られないのです。 |
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●ありえないこと |
私達は、空になった墓を見つめて、イエス様を捜しています。 |
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マリアもそうでした。 |
マリアが見つめている方向に、復活のイエス様はおられませんでした。 |
マリアのうしろにおられたのです。 |
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でもマリアは、そこにいる人がイエス様だとは分かりませんでした。 |
そこにイエス様がおられるわけがないのです。 |
イエス様はもう死んでしまわれたのですから。 |
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私達が探し求めている方向にイエス様はおられません。 |
全く反対の方向にイエス様はおられるのです。 |
でも私達は分かりません。 |
復活などあり得ないと思っているからです。 |
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●イエス様だと知る |
そう思っている私達は、わたしの名を呼ぶ声を聞くのです。 |
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マリアもそうでした。 |
「マリア」と呼ぶ声にマリアはもう一度振り向きます。 |
そして分かったのです。 |
その人がイエス様だと分かりました。 |
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今まで見ていた方向にイエス様はおられません。 |
これまでの考えの延長線上にイエス様はおられません。 |
その反対の方向に、私達の考えの外にイエス様はおられるのです。 |
私達が振り向くとき、そこにイエス様がおられます。 |
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●名を呼ばれて |
マリアは、自分が振り向きたいと思って振り向いたのではありません。 |
「マリア」と呼ぶ声を聞いて振り向いたのです。 |
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マリアがお墓に向いて泣いている時に、もう復活のイエス様は来てくださってい |
たのでした。 |
マリアの後ろに立ってくださっていたのでした。 |
「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」 |
と声を掛けてくださいました。 |
それでも分からないマリアでした。 |
無理もないことです。 |
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イエス様は「マリア」と名を呼ばれます。 |
名を呼ばれて、マリアは振り向くのです。 |
「ラボニ」 |
イエス様だと分かりました。 |
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私達はまだ、うしろにおられるイエス様に気がつかないのかもしれません。 |
「なぜ泣いているのか」と問われても、それがイエス様だと分からないでいるの |
かもしれません。 |
イエス様はそんな私達ひとりひとりを名前で呼んでくださるのです。 |
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わたしの名が呼ばれて、ハッと気付きます。 |
イエス様だ! |
私達は復活のイエス様にお会いするのです。 |
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●失われない居場所 |
マリアは復活のイエス様に会いました。 |
何という喜び。 |
失った者を取り戻したのです。 |
もう離すまい、 |
マリアはイエス様にすがりつきました。 |
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するとイエス様は言われました。 |
「わたしにすがりつくのはよしなさい。まだ父のもとへ上っていないのだから。」 |
「わたしはこれから、わたしの父であり、あなたがたの父である方、また、わたし |
の神であり、あなたがたの神である方のところへ上るんだよ」 |
と言われました。 |
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復活のイエス様は神様とひとつになられるのです。 |
これからはずっとマリアと一緒にいてくださるのです。 |
もういなくなることはありません。 |
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イエス様のおそばがマリアの生きる場所です。 |
今は、どこに居てもイエス様が居てくださいます。 |
マリアは、もう決して失われることのない居場所、生きる場所に辿り着いたの |
でした。 |
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●「わたしは主を見ました」 |
マリアはもう空の墓を見ていません。 |
墓を後にして走り出します。 |
再び弟子達のところに走って行きます。 |
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慌てふためいて走っているのではありません。 |
その顔は喜びに輝いています。 |
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マリアが弟子達に告げる言葉は、 |
「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分か |
りません」 |
ではありません。 |
「わたしは主を見ました」 |
です。 |
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●結語 |
マグラダのマリアの物語は、私達の物語です。 |
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イエス様がわたしの名を呼んでくださいます。 |
|
振り向くとそこに復活のイエス様がおられます。 |
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イエス様は、私達の人生を、墓に向かって生きる人生から、復活のいのちに向か |
って生きる人生へと、変えてくださいます。 |
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