<メッセージ> |
●イエス様のイメージ |
皆さんは、イエス様についてどのようなイメージを持っておられますか。 |
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優しい、 |
暖かい、 |
すべてを受け入れて包み込んでくださる、 |
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そのようなイメージでしょうか。 |
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その通りです。 |
私達がお会いする復活のイエス様は優しく、暖かく、わたしのすべてを受け入れ |
て包み込んでくださいます。 |
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けれども人としてこの世に生きておられたイエス様は、心に憤りを覚え、興奮し、 |
涙を流されたのでした。 |
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●マルタと |
イエス様はマルタ、マリア、ラザロの兄弟姉妹を愛しておられました。 |
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ところが愛するラザロが死んでしまったのです。 |
愛するマルタとマリアは、今深い悲しみの中にいます。 |
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イエス様はベタニア村の外でマルタに会われました。 |
「わたしは復活であり、命である」 |
と言われました。 |
マルタは「あなたはメシアです」と答えたのでした。 |
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●マリアと |
イエス様は、マルタにそうされたようにマリアにも一対一でお会いになりたかっ |
たのでしょう。 |
村はずれに留まったまま、マリアを呼ばれました。 |
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家に戻ったマルタは、弔問に訪れた人々に囲まれているマリアを呼び出しまし |
た。 |
マルタも、みんながいるところで、イエス様が来られたと、告げる気にはなれな |
かったのでしょう。 |
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マルタはマリアにそっと耳打ちします。 |
「イエス様が来られて、あなたを呼んでおられるわよ。」 |
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「ああ、イエス様」 |
マリアはすぐに立ち上がり、走るようにしてイエス様のもとに行ったのでした。 |
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マリアはイエス様を見るなりイエス様の足下に泣き伏しました。 |
「主よ、もしここにいてくださいましたら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに」 |
嗚咽で言葉が途切れます。 |
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泣いても泣いても涙があふれてきます。 |
ありったけの悲しみをイエス様の前に注ぎだすマリアでした。 |
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●ユダヤ人達 |
イエス様とマリア二人っきりのはずだったこの場に、マリアについてきた人達が |
いました。 |
マリアが激しく泣くのにつられて、この人達も泣いています。 |
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この人達はマルタ、マリアを慰めるためにエルサレムからベタニアに来たので |
した。 |
訃報を聞いても、他人事して心に留めない人達が多くいます。 |
でも彼らは、姉妹がかわいそうだと思って、何とか慰めてあげたいとやってきた |
のです。 |
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この人達がマリアの後を追ってきたのでした。 |
どこまでもどこまでもマリアについていって慰めようとします。 |
この人達は、マリアが墓に泣きに行くのだと思っていました。 それなら、思いっ |
きり泣けるようにマリアをひとりにしてあげよう、とは思わなかったのでしょうか。 |
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●悲しみに寄り添えない |
私達は悲しむ人と共に悲しむ者でありたいと願います。 |
自分では、悲しむ人と共に悲しんでいると思っています。 |
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でも、人はどこまで行っても自分中心なのです。 |
人の心を心とすることが出来ません。 |
本当は、そのようにしている自分に満足しているのだ、ということに気付きたい |
です。 |
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マリアについて行ってマリアと一緒に泣いた人達は、自分はマリアの悲しみに |
寄り添っていると思っていました。 |
でもそれは自分自身の考えによる行動なのです。 |
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彼らは悲しみの外側にいる人間です。 |
一時は一緒に泣いても、次の瞬間にはもう別のことを考えています。 |
彼らは「御覧なさい、どんなにラザロを愛しておられたことか」と言いました。 |
「盲人の目を開けたこの人も、ラザロが死なないようにはできなかったのか」と |
言う者もいました。 |
彼らは、どこまでも第3者なのです。 |
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私達人間は、どんなに心を尽くしても、どうしても第3者なのです。 |
私達が人を思って流す涙の中にも、自分中心という罪があります。 |
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●イエス様の涙 |
けれどもイエス様の流される涙は違います。 |
イエス様は、私達人間の悲しみをご自分の悲しみとされるのです。 |
すべての人を死から命へと導くために、ご自身の命を捨てられるのです。 |
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●憤る |
イエス様はマリアが泣き、一緒に来た人達も泣いているのを見て、心に憤りを |
覚え、興奮されました。 |
そして涙を流されました。 |
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ここに使われている「憤る」という言葉は、馬が怒って鼻を鳴らす、というところ |
から来ている言葉です。 |
「猛烈に怒って息を弾ませる」ということです。 |
「心」と訳されている言葉は「霊」という言葉です。 |
イエス様の霊が息を弾ませるほどの怒りを、イエス様は持たれたのでした。 |
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●興奮する |
「興奮された」と訳されている言葉は、口語訳聖書でも、今度新しく訳された聖 |
書でも「心を騒がせ」と訳しています。 |
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日本語では「興奮する」と「心を騒がせる」とでは意味合いがだいぶ違います。 |
「心を騒がせる」の方がふさわしい訳でしょう。 |
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このあと12章、13章にも同じ言葉が出てきますが、「心が騒ぐ」と訳されてい |
ます。 |
イエス様の心が、かき乱されたのです。 |
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●愛するゆえに |
イエス様は、なぜそれほどまでに憤られ心を騒がせておられるのでしょうか。 |
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それは、マルタ・マリヤ・ラザロを愛しておられるからです。 慰めに来ている人 |
達、そして彼らだけではなく全ての人々を愛しておられるからです。 |
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どうでもいい人のことなら、その人に何があっても、その人が何をしても、心は |
騒ぎません。 |
腹を立てることもありません。涙することもありません。 |
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愛しているから、大切に思っているから、かけがえのない存在だから、憤るので |
す。 |
心が騒ぐのです。 |
涙を流すです。 |
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イエス様は、死がどれほどの力を持って人を支配し、打ちのめすかをご覧にな |
りました。 |
死の現実の前では誰もどうすることも出来ないのです。 |
ただただ泣くばかり。 |
一緒に泣くしかないのです。 |
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イエス様は心をかき乱し激しく憤られます。 |
死に対する憤りです。 |
あまりに無力な人間への憤りです。 |
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●イエス様は起こす |
イエス様が言われます。 |
「どこに葬ったのか」 |
原文は |
「あなたがたは彼をどこに置いているのか」 |
です。 |
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このあと、イエス様は、人々がラザロを置いたところに行かれます。 |
そしてラザロを起き上がらせることになります。 |
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●泣いていい |
私達はけさ招詞で聞きました。 |
「5:7 キリストは、肉において生きておられたとき、激しい叫び声をあげ、涙を |
流しながら、御自分を死から救う力のある方に、祈りと願いとをささげ、その畏 |
れ敬う態度のゆえに聞き入れられました。」 |
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私達の主イエス・キリストは激しい叫び声をあげられたお方です。 |
涙を流されたお方です。 |
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私達は叫んでいいのです。 |
「苦しい」「恐い」「助けて」 |
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心を騒がせていいのです。 |
不安で不安でたまらない。 |
いても立ってもいられない。 |
心がしびれるほどの不安。 |
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涙を流していいのです。 |
どうすることも出来なくて、ただただ涙が流れます。 |
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イエス様はわかってくださっています。 |
イエス様は、そんな私達をまるごと受け入れてくださいます。 |
まるごと受け入れて救ってくださいます。 |
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もう、心に栓をしなくていいのです。 |
感情を抑えつけなくていいのです。 |
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イエス様だけです。 |
わたしの悲しみを御自分の悲しみとしてくださるのはイエス様だけです。 |
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●十字架に向かって |
このあとイエス様は十字架に向かって歩んで行かれます。 |
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イエス様は、十字架を前に心を騒がせられたのでした。 |
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「今、わたしは心騒ぐ。何と言おうか。『父よ、わたしをこの時から救ってください』 |
と言おうか。しかし、わたしはまさにこの時のために来たのだ。」 |
と言われます。 |
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心を騒がせ、「はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろう |
としている。」と言われます。 |
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●祈られる |
イエス様は祈られました。 |
「父よ、時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すようになるために、子 |
に栄光を与えてください。 |
17:2 あなたは子にすべての人を支配する権能をお与えになりました。その |
ために、子はあなたからゆだねられた人すべてに、永遠の命を与えることがで |
きるのです。」 |
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こう祈られてイエス様は十字架に向かわれました。 |
十字架に死に、復活されました。 |
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●心を騒がせるな |
今私達は復活の主イエス・キリストの声を聞いています。 |
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14:1 「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。」 |
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14:27 「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたし |
はこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。」 |
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●結語 |
イエス様がおられます。 |
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私達は悲しみ泣きます。 |
怒り憤ります。 |
不安が一杯で心が騒ぎます。 |
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けれども、私達ひとりひとりのために涙を流してくださるイエス様がおられるの |
です。 |
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イエス様は優しく、暖かく、わたしのすべてを受け入れて包み込んでくださいま |
す。 |
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イエス様は、わたしを、私達を、全ての人々を生かしてくださいます。 |
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