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礼拝メッセージ 2019年 3月 3日
日本バプテスト同盟  運河キリスト教会  
牧師 山本美智子
ローマの信徒への手紙 13章11〜14節 「キリストを着なさい」
〈聖書(新共同訳)〉
13:11 更に、あなたがたは今がどんな時であるかを知っています。あなたがた
が眠りから覚めるべき時が既に来ています。今や、わたしたちが信仰に
入ったころよりも、救いは近づいているからです。
13:12 夜は更け、日は近づいた。だから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身
に着けましょう。
13:13 日中を歩むように、品位をもって歩もうではありませんか。酒宴と酩酊、
淫乱と好色、争いとねたみを捨て、
13:14 主イエス・キリストを身にまといなさい。欲望を満足させようとして、肉に
心を用いてはなりません。
<メッセージ>
●春
春がそこまで来ています。
こどもの教会が終わる時刻には「ずいぶん明るいわね。この間まで真っ暗だっ
たのに」という言葉が思わず口から出ます。
土手を散歩しながら春を探します。
桜のつぼみが、だいぶ大きくなりました。
白樺も新芽の準備をしています。
枯れ草色の土手が日ごとに緑色に変わっていきます。
オオイヌフグリも星をちりばめたように咲き始めました。
タンポポも菜の花もあちらこちらに咲いています。
巣立ったばかりのちっちゃいちっちゃいスズメの子が数羽、「まあかわいい」と
思わず足を止めます。
風は冷たいけれど、これからまだ雪が降るかもしれないけれど、春は来つつあ
り、もう来ています。
「夜は更け、日は近づいた。」も同じです。
今は夜だけれど、日は来つつあり、もう来ているのです。
●レント
今週水曜日からレント(受難節)が始まります。
人類は長い間、闇の中を歩んできました。
その闇は、イエス様が十字架にかけられた時、最も暗さを増しました。
真っ昼間なのに、全地が暗くなりました。
そしてイエス様の死、埋葬。
死の暗黒が人類を飲み込み続けます。
●復活
夜はふけていき、朝が近付きました。
そしてあの朝、イエス様が復活されたのです。
今、イエス様復活の光が、闇に差し込んでいます。
私達は復活の光の中に居ます。
今や眠りから覚める時です。
 
●今の時
「救いは近づいている」
「夜は更け、日は近づいた。」
今、すでにキリストの光が世に差し込んでいます。
そしてやがて、キリストの光が全地を覆うのです。
すべての人が光の中に居ることになるのです。
ヨハネの黙示録はその時のことを教えてくれています。
「この都には、それを照らす太陽も月も、必要でない。神の栄光が都を照らして
おり、小羊が都の明かりだからである。
諸国の民は、都の光の中を歩き、地上の王たちは、自分たちの栄光を携えて、
都に来る。
都の門は、一日中決して閉ざされない。そこには夜がないからである。」
今は「すでに」と「いまだ」の間の時です。
キリストの救いはすでに来ています。
やがて救いの完成の時が来ます。
その間の時を今私達は生きているのです。
 
●どう生きるか
この時をどのように生きていったらいいのかが、今日の箇所に記されています。
「闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。
・・・
酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみを捨て、
主イエス・キリストを身にまといなさい。」
とあります。
●「着る」と「脱ぐ」
「着る」と「脱ぐ」という言葉が使われています。
脱ぐのは
闇の行い
酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみ
です。
着るのは
光の武具
主イエス・キリスト
です。
●身にまとって生きている
人は常に何かをまとって生きています。
裸では生きられないのです。
どうして裸で生きられないかを、創世記が物語っています。
創世記のアダムとエバの物語は、歴史的な事実として捉えるものではありませ
ん。
罪とは何であるかを、物語風に表現しているのです。
人は神様が守ってくださっているので、安心して裸で生きていました。
神様の前でも裸でしたし、人同志も裸でいることが出来ていたのです。
ところが人は、自分が神様になりたいと思うようになりました。
人は、神様の愛と信頼に背きました。
その結果、人が最初にしたことは、いちじくの葉で身を覆うことでした。
裸で生きられなくなくなってしまったのです。
神様の元を離れて生きていかなければならなくなった人間に、神様は皮の衣
を作って着せられたのでした。
自分に背いて、もう裸で生きられなくなってしまった人間のために、衣を作り着
せられる神様。
神様の痛み、悲しみが伝わってきます。
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●私達がまとっているもの
私達はいつも何かをまとって生きています。
わたしが身にまとっているものは何かを考えてみてください。
 
これまで生きるために身につけてきたすべてがそうです。
様々な知恵、知識、技術、能力、
学歴や地位だったり、お金だったり、
そういうもので身を包んで、生きて来たのでした。
競争心、優越感、人からの誉れ、自信、等々すべて生きるために身にまとって
いるものです。
 
●闇の行いも 
人は裸では生きていけません。
闇の行い―酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみだって、生きるために身を
覆っているものではありませんか。
必要なものが手に入れられなければ、酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみ
によって身を覆うほかないではありませんか。
悲痛な叫びが聞こえてきます。
 
●代わって覆うもの 
闇の行いに眉をひそめ、そんなことやめなさい、と言うのは簡単です。
けれど捨てろと言われても捨てられるものではありません。
人は裸では生きられないのです。
闇の行いを脱ぎ捨てるためにどうしても必要なのは、代わって自分を覆ってく
れるものです。
 
●キリスト
キリストが覆ってくださいます。
そして言われます、
「わたしがあなたを覆っているから、脱ぎ捨てても大丈夫。ちゃんと生きていけ
るよ」
わたしを覆ってくださっているキリストを知った時に、私達は闇の行いを脱ぎ捨
てることができるのです。
●私達
私達はキリストを知りました。
キリストを信じました。
キリストがわたしを覆ってくださっています。
私達は光の中に居ます。
ですから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けることができます。
●光の武具
光の武具とはどのようなものでしょうか。
エフェソの信徒への手紙に「神の武具」について詳しく記されています。
「立って、真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、
平和の福音を告げる準備を履物としなさい。
なおその上に、信仰を盾として取りなさい。それによって、悪い者の放つ火の
矢をことごとく消すことができるのです。
また、救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。
どのような時にも、“霊”に助けられて祈り、願い求め、すべての聖なる者たち
のために、絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい。」
自分が一つ一つ身につけていくのをイメージしてください。
まず帯です。腰に締めます。
帯は「真理」です。
次に胸当てをつけます。
胸当ては「正義」です。
次に履き物を履きます。
履き物は「平和の福音を告げる準備」です。
一方の手に盾を持ちます。
盾は「信仰」です。
頭に兜をかぶります。
兜は「救い」です。
もう一方の手に剣を持ちます。
剣は「神の言葉」です。
私達が身につけるもの−真理、正義、福音を伝えること、信仰、救い、神の言葉、
みんな神様のものです。
神様がくださるものです。
頭のてっぺんから足のつま先まで、神様が覆ってくださるのです。
●祈り
そして戦いに出て行きます。
生きていくのは本当に戦いです。
でも鬨の声をあげて出て行くのではありません。
「どのような時にも、“霊”に助けられて祈り、願い求めて」とあります。
祈って、祈って出て行くのです。
祈って祈って、歩むのです。
人間の勇ましさはどこにもありません。
 
●「なれ」と言わない
主なる神様は、あなた自身が強くなれ、立派になれ、正しい人間になれ、と命じ
られません。
わたしが強くなって、立派になって、正しい人間にならなければ救われないのな
ら、わたしは救われません。
すべての人は救われません。
裸のわたしは、弱いです。
寒さに震え、少しのことに打ちのめされ、いつも何かを恐れておびえています。
人と争って何かを手に入れようとし、
人をねたみます。
主はわたしの弱さ、わたしの罪をご存じです。
強そうに振る舞っていても、立派に振る舞っていても、人の目には正しい人間
であると写っていても、
その奥にある裸のわたしをご覧になっています。
そして裸のわたしをそのままそっと覆ってくださいます。
●身にまといなさい
「主イエス・キリストを身にまといなさい。」
と促す声が聞こえます。
私達はキリストを身にまとって歩んでいきます。
いや、わたしがキリストを身にまとうのではなく、キリストがわたしを覆ってくださ
るのです。
ですから私達はキリストを身にまとっていることができるのです。
キリストに包まれて、キリストに守られて、私達は歩んでいきます。
 
私達の主イエス・キリストが私達を励ましてくださいます。
「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世
に勝っている。」
 
●結語
キリストは十字架に死に復活されました。
すでに光が闇の中に差し込んでいます。
その光はついには全地を、すべての人を覆うのです。
夜は更け、日は近づいた。
救いの完成の時へと、私達は光の中を歩んでいきます。
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