<メッセージ> |
●過越 |
過越の小羊を屠る日になりました。 |
ユダヤの人々はこの日、神殿で小羊を屠るのです。 |
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昔々、イスラエルの民が奴隷となっていたエジプトを脱出した時のことです。 |
主は家の二本の柱と鴨居に小羊の血を塗るように命じられました。 |
このしるしを見て、すべての初子を殺す神の使いが、イスラエルの家を過ぎ越 |
したのでした。 |
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このことを記念して、過越の祭を行なうのです。 |
小羊を屠るのはニサンの月の14日と決まっていました。 |
今の暦で言うと3月末から4月初めの頃です。 |
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●過越の食事 |
人々は神殿で屠った小羊を家に持って帰って、その夜に過越の食事をします。 |
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ユダヤでは日没とともに新しい日が始まります。 |
ですから過越の食事は15日に食べることになります。 |
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●一日の出来事 |
イエス様は弟子達と共に過越の食事をされました。 |
15日が始まったばかりです。 |
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食事の後、ゲッセマネの園で祈っておられる時に、イエス様は捕らえられました。 |
そして大祭司の中庭に連れて行かれ裁かれました。 |
夜の間の出来事です。 |
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夜が明けました。 |
まだ15日です。 |
イエス様はローマ総督ピラトのもとに連れて行かれ、十字架に掛けられること |
になりました。 |
昼の12時になると、全地は暗くなり、午後3時にイエス様は息を引き取られま |
した。 |
日没近くになっていたので、アリマタヤのヨセフが、急いでイエス様を墓に納め |
ました。 |
最後の晩餐から、息を引き取られ墓に納められるまで、すべて一日の中での出 |
来事だったのです。 |
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●過越の食事の準備 |
すべてがこの一日に向かって進んでいました。 |
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二人の弟子が過越の食事の準備をするためにエルサレムの都に入りました。 |
すると、水がめを運んでいる男の人に出会いました。 |
普通男の人が水を運ぶ時は、革袋を使うのです。 |
水がめで運んでいる男の人に出会うことはめったにありません。 |
それなのに、水がめを運んでいる男の人に会ったのでした。 |
弟子達はその人について行ってその家の主人に「先生が、『弟子たちと一緒 |
に過越の食事をするわたしの部屋はどこか』と言っています。」 |
と言いました。 |
すると、主人は席が整って用意のできた二階の広間を見せてくれたのでした。 |
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●神様の御計画の中で |
こういうことを、私達もよく経験します。 |
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予期していなかったのに、ある人に会う。 |
そこから事が進んでいくのです。 |
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人はそれを偶然と言います。 |
でも私達はそれが神様のご計画の中で起っていることがわかります。 |
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神様はすべての人々のことをわかってくださっていて、必要なことを起こしてく |
ださいます。 |
ずっと前から実に綿密に計画をされて人々を動かし、事を起こされるのです。 |
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そういう経験を重ねていくと、すべてのことを神様の手から受け取ることが出 |
来る様になります。 |
神様を信頼していれば大丈夫。 |
安心して生きていくことができます。 |
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●不思議ではない |
過越の食事の準備に向かった弟子達が出会ったことはすべて、イエス様の言 |
われたとおりでした。 |
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不思議でも何でもありません。 |
イエス様は神であられますから、神様がなさることを前もって知っておられて当 |
然です。 |
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●裏切る者 |
時は刻々と過ぎていきます。 |
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イエス様は12人の弟子達と共に食事の席に着かれました。 |
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その時イエス様が言われたのです。 |
「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をして |
いる者が、わたしを裏切ろうとしている。」 |
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12人しかいないのです。 |
みんなイエス様に従ってきた人達です。 |
寝食を共にしてきた仲間です。 |
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「わたしたちのうちの一人が」 |
みんな不安を感じたのです「わたしなのではないか。」 |
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イエス様を取り巻く状況が厳しくなってきているのを、弟子達も感じていました。 |
その中で、弟子達の心に揺らぎがあったのです。 |
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弟子たちは心を痛めて、「まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた |
のでした。 |
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●わかっておられた |
イエス様はわかっておられたでしょう。 |
イスカリオテのユダが、祭司長達にイエス様を引き渡そうとしていることも、 |
そしてそれを実行することも。 |
他の弟子達もみんな、イエス様を捨てて逃げ出すことがわかっておられました。 |
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けれどもイエス様はそのすべてを受け入れられるのです。 |
「人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。」 |
と言われました。 |
そして十字架へと向かわれました。 |
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●私達 |
イスカリオテのユダだけが、イエス様を裏切る者ではありません。 |
12人の弟子達だけが、イエス様を見捨てて逃げ出す者ではありません。 |
わたしが、あなたが、そうなのです。 |
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私達は主イエス・キリストを信じて従っています。 |
主と共に食卓に着いています。 |
聖餐の食卓に与っているのです。 |
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そうであるのに、イエス様から「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人 |
で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている。」 |
と言われれば |
「まさかわたしのことでは」と言わずにはいられなくなります。 |
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自分自身を省みれば、イエス様を裏切ってばかりいる自分が見えてきます。 |
イエス様の言葉を信じ切れない自分がいます。 |
言葉は知っていても知っているだけで、その言葉に信頼して生きることをして |
いない。 |
自分の心は自分の考えが支配しているのです。 |
この世の考え、周りの人達の意見に支配されて生きています。 |
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●十字架 |
そのようにしか生きられないわたしを、あなたを、そしてすべての人々を救うた |
めに、イエス様は十字架についてくださったのです。 |
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イエス様はわかっておられたのですから、十字架から逃れる手立てはいくらで |
もあったのです。 |
けれどもイエス様は神様の救いのご計画のままに歩まれました。 |
裏切るイスカリオテのユダを、逃げ出す弟子達をみんな背負って十字架に向 |
かわれました。 |
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イスカリオテのユダを、弟子達を、そしてすべての人々を救うためです。 |
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●嘆かれるイエス様 |
「まさかわたしのことでは」と代わる代わるに言い始めた弟子達に、イエス様は |
「十二人のうちの一人で、わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者がそれだ。」 |
と言われました。 |
そして |
「人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによか |
った。」 |
言われました。 |
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「不幸だ」と訳されているのは嘆きのうめき声をあらわしている言葉です。 |
「ああ、人の子を裏切る者よ」 |
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ユダがどんなに苦しまなければならないかをイエス様はご存じでした。 |
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●ユダの苦しみ |
愛し信頼し身近に共に暮している者に裏切られるほど耐えがたい苦しみはあり |
ません。 |
イエス様はその苦しみを味わっておられました。 |
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そしてユダは、のちに、大切な人を裏切ってしまった罪に苦しむことになります。 |
何ということをしてしまったのか。 |
それは、サタンが働いたとしか言いようのない、とんでもない行為でした。 |
悔いても悔いても取り返しがつかない。 |
どうすることもできない、耐えがたい苦しみに、ユダは自らのいのちを絶ってし |
まうのです。 |
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イエス様はユダの苦しみを苦しみ嘆かれます。 |
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裏切られた者が、裏切った者のために嘆き苦しむ。 |
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裏切って裏切って裏切り続ける人類を、それでも捨てずに救われる神様の愛 |
が、イエス様の十字架になりました。 |
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●裏切った者を包む赦し |
裏切った者さえ包む十字架の赦しです。 |
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私達はすでに、ヨハネの黙示録によって、屠られた小羊キリストによる救いの |
完成を見させていただきました。 |
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人々を惑わしていたサタンは、火と硫黄の池に投げ込まれます。 死も陰府も |
火の池に投げ込まれます。 |
死が死ぬのです。 |
「もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。」 |
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小羊が都の光です。 |
サタンに惑わされていた諸国の民、地上の王たちは、惑わしから解き放たれ、 |
都の光の中を歩きます。 |
都の門は、一日中決して閉ざされません。 |
夜がないからです。 |
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●幻 |
「しかし、汚れた者、忌まわしいことと偽りを行う者はだれ一人、決して都に入れ |
ない。」 |
と書かれています。 |
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私は幻を見ます。 |
イエス様を裏切った罪に苦しむユダは、都の外にいます。 |
都の門は開いています。 |
でも、「イエス様を裏切ったわたしは、決して都に入ることは出来ないんだ」と |
門の外にたたずんでいます。 |
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そのユダの所に、屠られた小羊キリストが来られるのです。 |
都の門を出て、ユダのもとに来られます。 |
屠られた小羊キリストは都の外で十字架にかかられたお方だからです。 |
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「わたしはあなたのためにも死んだんだよ。さあわたしと一緒に都に行こう」 |
とユダの手を引いてくださいます。 |
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●十字架に向かって |
次々に起こる出来事の中を、時は十字架に向かって進んでいきます。 |
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すべての人々を救うためにイエス様は十字架への道を歩まれます。 |
神様の救いのご計画を実現するために進まれます。 |
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●結語 |
主イエス・キリストの十字架の他に救いはありません。 |
そして、主イエス・キリストの十字架の贖いから洩れる人は一人もいないのです。 |
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「さあ、わたしと一緒に行こう。」 |
屠られた小羊キリストは、今日も私達一人一人を招いておられます。 |
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