<メッセージ> |
●イエスの愛 |
「献げる愛」これはイエス様の愛です。 |
イエス様はご自分のいのちを献げられました。 |
これほど大きい愛はありません。 |
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イエス様は誰のために命を献げられたのでしょうか? |
わたしのために、あなたのために、そしてすべての人々のためにです。 |
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わたしが、あなたが、正しい人だから、イエス様は命を献げてくださったのです |
か? |
わたしが、あなたが、善い人だから、イエス様は命を献げてくださったのですか? |
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そうではありません。 |
「わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくだ |
さった」 |
と聖書に書いてあります。 |
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わたしは、あなたは、そしてすべての人々は、これほどの愛で愛されているので |
す。 |
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●イエスを殺す計画 |
14章から、イエス様が人として生きられた最後の二日間のことが記されてい |
ます。 |
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祭司長たちや律法学者たちは、なんとか計略を用いてイエス様を捕らえて殺そ |
うと考えていました。 |
イエス様の12人の弟子達の一人イスカリオテのユダは、イエス様を祭司長た |
ちに引き渡そうと、その機会をねらっていました。 |
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外側からも内側からも、イエス様を殺そうというたくらみが進んでいたのです。 |
その真ん中に今日の出来事が記されています。 |
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●食事の席 |
その時イエス様は食事をされていました。 |
重い皮膚病の人シモンの家でのことです。 |
当時重い皮膚病の人は町から出され、人々と生活することは許されていません |
でしたから、この時シモンは重い皮膚病がなおっていたのでしょう。 |
12人の弟子達と、シモンと、その他に何人かの人達が一緒に食事をしていた |
でしょう。 |
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●女のしたこと |
すると突然女の人が入ってきました。 |
その人はイエス様に近づくと、いきなり持っていた小さな石膏の壺を割り、中身 |
をイエス様の頭に注ぎました。 |
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これがその時起こった事です。 |
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イエス様は |
「はっきり言っておく。世界中どこでも、福音が宣べ伝えられる所では、この人の |
したことも記念として語り伝えられるだろう。」 |
と言われました。 |
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事実その通りになりました。 |
今私達はこの女の人がしたことを聞いています。 |
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●もったいない |
この出来事が起こった時、実際にそこに居合わせた人達がいるわけです。 |
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この人達がまっ先に思ったことは「もったいない」です。 |
そして、そんなもったいないことをした女に怒りを感じました。 |
「もう、何でこんなもったいないことをするんだ。 |
お前のしたことは香油の無駄遣いじゃないか。 |
この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」 |
そして彼女を厳しくとがめたのでした。 |
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確かに彼らの言うとおりです。 |
この香油はあまりに高価すぎました。 |
300デナリオン以上もするのです。 |
1デナリオンは、人が一日働いて貰える賃金です。 |
人が丸一年働いてやっと稼げる金額です。 |
時給1000円で8時間働いたとすると240万円になります。 |
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240万円するものを、一気に使ってしまったら、誰だってもったいないと思うで |
しょう。 |
私達も、もったいないと思うのではありませんか。 |
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●イエスは彼女を受け入れる |
どうしてこの女の人は、こんなことをしたのでしょうか。 |
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彼女は一言も話しません。 |
彼女についての説明も一切ありません。 |
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でも、イエス様は言われたのです。 |
「するままにさせておきなさい。なぜ、この人を困らせるのか。わたしに良いこと |
をしてくれたのだ」 |
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イエス様はわかっておられます。 |
彼女のこれまで生きてきたすべてのことがわかっておられます。 |
彼女がどんな思いで香油を注いだのか、彼女の気持がよくわかっておられます。 |
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イエス様は「わたしに良いことをしてくれた」と言われました。 |
人は無駄遣いと思う、けれどそれは、イエス様にとって良いことなのです。 |
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●他の福音書 |
ナルドの香油を注いだ記事は、マタイによる福音書にも、ヨハネによる福音書 |
にもあります。 |
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マタイは、このマルコの記事とほとんど同じです。 |
ただ違うのは、弟子達が「なぜ、こんな無駄遣いをするのか。高く売って、貧しい |
人々に施すことができたのに。」と言った、とされていることです。 |
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ヨハネの方は、マルタとマリアの弟ラザロをイエス様が生き返らせた出来事の |
流れの中に記されています。 |
マリヤがナルドの香油を持って来て、イエス様の足に塗ったとされています。 |
そして、イスカリオテのユダが「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧し |
い人々に施さなかったのか。」と言ったとされています。 |
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ルカによる福音書には同じ記事はありません。 |
けれどもよく引き合いに出されるのは、罪深い女が、香油の入った石膏の壺を |
持って来て、イエス様の足もとに近寄り、イエス様の足に接吻して香油を塗った、 |
という記事です。 |
これは、ファリサイ派の人の家での出来事とされています。 |
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●女はマリアか? |
乱暴にもこれらを混ぜ合わせて、この女はマルタ・マリア姉妹のマリアであり、 |
実はマリアは罪の女であったのだ、このマリアが十字架と復活の場面に登場 |
するマグダラのマリアだ、と言われることが多いです。 |
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そう説明されると、私達はわかった気になります。 |
弟ラザロを生き返らせてくださったイエス様だから、マリアはイエス様に愛を献 |
げたんだ。 |
罪を赦された女だから、イエス様に愛を献げたんだ。 |
と納得するのです。 |
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●居合わせた人達 |
また、女をとがめたのは、弟子達だとかイスカリオテのユダだとか聞くと、イエス |
様の弟子達は何も分かっていないと思ったり、イスカリオテのユダは悪い人だと |
思ったりします。 |
その人だけの事として受け取るのです。 |
自分とは関わりない、昔々の出来事だと思っています。 |
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●あなたのこと |
けれども、マルコによる福音書は名前を言いません。 |
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「一人の女が」「そこにいた人たちの何人かが」と言います。 |
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あなたがその女の人なのです。 |
あなたがそこにいる人なのです。 |
私達は「なぜ、こんなに香油を無駄遣いしたのか。この香油は三百デナリオン |
以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」と言う者であり、 |
高価な香油をイエス様の頭に注ぐ者にもなるのです。 |
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●一人の女 |
一人の女… |
彼女は高価な香油をイエス様に献げずにはいられませんでした。 |
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女は人数に数えられないほどに低く見られていた時代です。 |
男の人達の食事の席に入っていくことなど決して許されないことでした。 |
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でも彼女は行かずにいられなかった。 |
イエス様の頭に香油を注がずにはいられなかったのです。 |
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それほどまでに、彼女の心はイエス様への感謝、イエス様への愛で、はち切れ |
そうになっていました。 |
その思いがすべてを乗り越えさせたのです。 |
彼女の心は、献げる愛となって現われました。 |
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●そこにいた人達 |
そこにいた人達… |
彼等は、イエス様と親しい人達です。 |
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弟子達はイエス様と一緒に生活し、いつも一番近くでイエス様のお話を聞き、 |
なさることを見てきました。 |
イエス様を師と仰ぎ、イエス様に従ってきた弟子達でした。 |
イエス様を信頼しイエス様を愛していることに間違いはありません。 |
家の主人シモンはかつて重い皮膚病で苦しんだ人です。 |
人々からのけ者にされました。 |
こんな病気になったのは自分の罪の結果だと苦しみました。 |
律法の非情さを身をもって体験し、そこから解放された喜びを知っている人で |
す。 |
今は癒されている。 |
イエス様は私の家で食事をしてくださっている。 |
イエス様を愛し敬っている人です。 |
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そこにいた人達はみんな、自分はイエス様のことをよく知っている、イエス様を |
愛していると思っていました。 |
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●心の動き |
彼等は、女の人が高価な香油を2,3滴イエス様の頭に注いだのだったら、ああ |
なんと麗しい光景かと思ったでしょう。 |
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でも全部は多すぎる。 |
もったいないと思うのです。 |
「無駄遣いしている」と思う心の動きに、自分にとってイエス様がどれほどの存 |
在なのかが現われてしまっています。 |
イエス様は全部の香油を注ぐに価しないのです。 |
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「この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたの |
に。」 |
という言葉は、「無駄遣いしている」と思う思いを正当化するための言葉です。 |
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こういうことを私達もよくします。 |
自分の気持が正しいことを、もっともらしく説明するのです。 そうすることによっ |
て自分を正当化し、自分と違った考えを持つ人を非難します。 |
そうすることが正しいと思っています。 |
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彼らは女の人を厳しくとがめたのでした。 |
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●イエス様 |
しかし、イエス様は、この女の人の献げる愛を、そのまますっぽりと受け取られ |
ました。 |
「わたしの体に香油を注ぎ、埋葬の準備をしてくれた。」 |
と受け取ってくださったのです。 |
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もうまもなく十字架で死なれるイエス様です。 |
外側からも内側からも、イエス様を殺すくわだてが進んでいました。 |
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十字架に死んですべての人々の罪の贖う、それは神様の御心でした。 |
自分の力ではどうすることも出来ないすべての人々を救うためには、これしか |
ないのです。 |
「わたしはすべての人々のためにわたしのいのちを献げる」 |
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「わたしの体に香油を注ぎ、埋葬の準備をしてくれているんだね。」 |
イエス様の心に寄り添えたのはこの女の人だけでした。 |
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●私達 |
私達はイエス様を知っています。 |
わたしの主と信じて、主に従っています。 |
イエス様を愛しています。 |
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そうであっても、私達は「そこにいた人」になるのです。 |
イエス様に高価な香油を献げることを無駄遣いと思う、それほどにイエス様を |
軽んじるのです。 |
少しだけイエス様に献げて、それで良しとしているのです。 |
ほとんどのことは自分の考えや人の思惑、世の習わしに従って動き、少しだけ |
神様にお願いするのです。 |
そういう自分が本当に悲しくなります。 |
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けれども、そのような私達、信じていると思っていてもイエス様を軽んじている |
私達のためにも、イエス様は十字架に死んでくださったのでした。 |
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●愛を頂く |
果てしなく大きな愛です。 |
価をつけることが出来ないほどの大きさです。 |
わたしのすべてをお献げしても、その愛に答えることが出来ません。 |
私達はただただイエス様がわたしのために献げてくださった愛を頂きます。 |
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わたしの人生すべてを、主の御手にお渡ししたいです。 |
私達が精一杯を献げる時、イエス様は、「わたしに良いことをしてくれたのだ」 |
「この人はできるかぎりのことをした」 |
と受け取ってくださいます。 |
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●結語 |
イエス様、ありがとうございます。 |
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私達はイエス様の献げてくださったいのちの中に生かされています。 |
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