<メッセージ> |
●思い違い |
私達は信仰を持つということについて、思い違いをしているのではないでしょう |
か。 |
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わたしは信仰を持っているのだから、正しい行いをして立派に生きなければな |
らない。 |
わたしは信仰を持っているのだから、苦しみが襲ってきても耐えなければいけ |
ない。 |
どんなことがあっても平安な心でいられるはずだ。 |
いつも元気で希望を持って生きられるはずだ。 |
救われている喜びの中で、いつも笑顔でいなければならない。 |
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自分を打ちたたいて、自分をそのようにさせようとするのです。 |
苦しい信仰です。 |
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また他の人達からも言われます。 |
あなたは信仰を持っているのにそんなことをするの。 |
信仰を持っているならば、敵をも愛すべきでしょ。 |
信仰があるならばもっと人に優しく出来るはずだ。 |
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心に突き刺さる言葉です。 |
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●信仰があっても |
信仰を持っていても、苦しいときは苦しいのです。 |
悲しいときは悲しいのです。 |
信仰を持っていても、疲れ果てて落ち込むのです。 |
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●エリヤ |
エリヤは偉大な業を成し遂げました。 |
バアルの預言者450人と対決したのでした。 |
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神様は火を降してエリヤの献げ物を焼き尽くされました。 |
それを見たすべての民はひれ伏し、「主こそ神です。主こそ神です」と言いました。 |
この時、3年以上雨が降らず干ばつに襲われていた地に雨が降りました。 |
実に大きな出来事が起こったのです。 |
エリヤを用いて、主が神であることが表わされたのでした。 |
エリヤは主に信頼して、大きな働きをしました。 |
バアルの預言者達に勝ちました。 |
エリヤは成功したのです。 |
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●私達は思う |
私達は思います。 |
『エリヤは主なる神様が自分を用いて大きな業をなさることを体験した。 |
ますます主に対する信頼を強くしたに違いない。 |
エリヤは信仰に燃えて、主のご用のためにこれまで以上に力強く生きるはず |
だ。』 |
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●恐れるエリヤ |
ところがそうではなかったのです。 |
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アハブ王の妃イゼベルはバアルの預言者達が殺されたと聞いて、エリヤを殺 |
そうとしました。 |
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それを聞いてエリヤはとても恐れ、すぐに逃げだしたのです。 |
エリヤは荒れ野に入り、えにしだの木の下に来て座って、自分の命が絶えるの |
を願いました。 |
「主よ、もう十分です。わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者で |
はありません。」 |
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●素の人間 |
『何となさけない。 |
エリヤの信仰はどこに行ってしまったのか。 |
あれほどの体験をしたのに、神様がエリヤを救ってくださると信じられなかった |
のか。 |
弱いエリヤだ。』 |
と思うでしょうか。 |
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それは思い違いです。 |
ここには生のままの人の姿が記されています。 |
何も身にまとわない素の人の姿です。 |
これが人間の本当の姿なのです。 |
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●私達 |
エリヤに自分自身を見ます。 |
私達は信仰を持って生きて来ました。 |
ずいぶん長い時間を生きて来ました。 |
色々なことをしてきました。 |
元気一杯、力に満ちて大きな事もしてきました。 |
神様が力を与えてくださったので出来たのでした。 |
自分ではとても出来ない、自分にはとても考えられないことも、神様が先に立 |
ち後ろから押してくださってさせてくださいました。 |
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それなのに、私達も疲れ果てるときがあるのです。 |
その時私達も言うのです。 |
「主よ、もう十分です。わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者で |
はありません。」 |
生きることに疲れます。 |
休みたい、楽になりたい。 |
自分の命が絶えることさえ願います。 |
今までの主の恵みの体験は、わたしを奮い立たせてはくれません。 |
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●主は見捨てられない |
「主よ、もう十分です。わたしの命を取ってください。」 |
と言うエリヤを神様は見捨てられませんでした。 |
「そんな弱虫なお前はもう役立たずだ」と捨てることをなさらないのです。 |
「がんばれ」とも言われません。 |
元気が出るように教え諭すことさえなさらないのです。 |
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死にたいと思うほどに疲れ果てて眠ってしまったエリヤの枕元に、主はそっと |
焼き石で焼いたパン菓子と水の入った瓶を置かれました。 |
そしてやさしくエリヤに触れられました。 |
「さあ起きて、食べてごらん。」 |
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エリヤはそのパン菓子を食べ、水を飲んで、また横になってしまいました。 |
まだ立ち上がる力がないのです。 |
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弱り果てたエリヤを主は養ってくださいました。 |
パンと水を運び、元気が出るまで待ってくださったのです。 |
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●ホレブの山へ |
少し元気を回復したエリヤに主は言われました。 |
「あなたはホレブの山に行くのだ。」 |
エリヤはホレブの山へと向かいました。 |
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エリヤが今居るベエル・シェバは死海の左側にあります。 |
ホレブの山はシナイ半島の下の方です。 |
それは遠い長い旅でした。 |
40日40夜はその遠さ長さを象徴しています。 |
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主に手当てしていただいても、まだ心は重く暗いのです。 |
心はそんなにすぐに元気にはなりません。 |
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エリヤは重い足取りで、それでも主に言われるままに、一足また一足と歩いて |
いきました。 |
それはつらい耐え難いほどの旅でした。 |
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●何をしているのか |
それでもとうとうエリヤはホレブの山に辿り着きました。 |
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そこには主が待っておられました。 |
一歩また一歩と歩くエリヤを見守り続けてくださっていた主は、エリヤに言われ |
ます。 |
「エリヤよ、ここで何をしているのか。」 |
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責めているのではありません。 咎めているのではありません。 |
慈しみに溢れた言葉です。 |
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●苦しみの告白 |
この言葉に促されて、エリヤは自分の苦しみを言い表すことが出来ました。 |
「わたしは情熱を傾けて主に仕えてきたのです。 |
それなのに人々は主に背き預言者達を殺しました。 |
わたしはひとりぼっちです。命をねらわれています。」 |
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ひとりで抱えて苦しんできたことを、はき出すことが出来ました。 |
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●主の前に立つ |
主はエリヤの言葉に対して一つ一つ言葉を返すことはなさいません。 |
ただ |
「そこを出て、山の中で主の前に立ちなさい。」 |
と言われました。 |
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非常に激しい風が起こり、山を裂き、岩を砕きました。 |
しかし、風の中に主はおられませんでした。 |
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風の後に地震が起こりました。 しかし、地震の中にも主はおられませんでした。 |
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地震の後に火が起こりました。 しかし、火の中にも主はおられませんでした。 |
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●静かにささやく声 |
山が静寂に包まれました。 |
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その時、静かにささやく声が聞こえました。 |
「エリヤよ、ここで何をしているのか。」 |
エリヤをそっと包み込む暖かい言葉でした。 |
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そして主は言われました。 |
「行きなさい、あなたの来た道を引き返しなさい。」 |
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主はエリヤのなすべき務めを教えられました。 |
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そして |
「わたしはイスラエルに七千人を残す。これは皆、バアルにひざまずかず、こ |
れに口づけしなかった者である。」 |
と言われました。 |
エリヤはひとりぼっちではないのです。 |
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●私達にも |
主はわたしにも、あなたにも言われます「あなたは、ここで何をしているのか。」 |
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主は私達一人ひとりがこれまで生きてきたすべてをご存じです。 |
元気に力強く生きていたことも、 |
大きな試練を乗り越えてきたことも、 |
知っていてくださいます。 |
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そして今、傷つき、倒れ、疲れ切っていることも知っていてくださいます。 |
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●思い違い |
私達はこれまで思い違いをしていたのではないでしょうか。 |
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山を裂き、岩を砕く激しい風の中に神様がおられると思っていた。 |
山をも動かす地震の中に神様の業を見ようとしていた。 |
すべてを焼き尽くし清める火の中に神様を探していた。 |
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力強い出来事の中に神様がおられると思っていたのです。 |
人々が驚く大きな出来事に神様を見ていたのです。 |
そのような出来事に自分がかかわっていくことが、神様を信じる者のあるべき |
姿だと思っていたのです。 |
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けれどもそこに主はおられません。 |
人々が目を見張り賞賛する、人々が、これは神の偉大な業だと思うところに主 |
はおられません。 |
人の誉れの中に、主はおられないのです。 |
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●静かにささやかれる |
主は静かにささやかれます。 |
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その声は、激しい風、地震、火の燃える中では聞こえません。 |
人々の声が飛び交う中では聞こえません。 |
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今私達は静かにささやく主の声を聞いています。 |
「あなたはここでなにをしているの。」 |
責めておられるのではありません。 |
咎めておられるのではありません。 |
わたしのすべてを知ってそって包み込んでくださっています。 |
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●行きなさい |
そして主は言われます。 |
「さあ行きなさい。」 |
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私達はその声に励まされて、また生き始めることが出来るのです。 |
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これまで生きてきた生活の場へと引き返します。 |
そこにはまだ私達がすることがあります。 |
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●結語 |
日々の暮らしの中には色々なことが起こります。 |
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疲れを覚えながらこの礼拝に来られている方も多いでしょう。 |
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けさ、主は私達に静かに語ってくださいました。 |
私達は主のふところで休み、主の言葉に癒され、またここから生き始めます。 |
日々の暮らしへと帰って行きます。 |
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主はいつも静かな声で私達を暖かく包んでくださっています。 |
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