<メッセージ> |
●悲鳴を上げている |
今のこの時代、世界中の人達が悲鳴を上げ助けを求めています。 |
残忍な人殺し、 |
手がつけられなくなってしまった自然の脅威、 |
物に支配され乾ききってしまった人の心、 |
悲鳴を上げることを忘れるほどの渇きです。 |
声にならない叫びが、訴えが地上に満ちています。 |
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その叫びを聞いてくださっているお方がおられます。 |
ひとりの叫びをも聞き逃すことなく聞いておられるお方がいます。 |
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●群衆に囲まれているイエス |
この時、イエス様の周りにはたくさんの人たちが集まってきていました。 |
あまりにたくさんの人達なので、イエス様は舟に乗って湖の上からお話しされ |
なければならないほどでした。 |
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そんな中でイエス様は叫び声を聞かれるのです。 |
それははるかはるか遠く、湖の向こう側で叫んでいるひとりの人の声でした。 |
イエス様は確かにその声を聞かれました。 |
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●向こう岸に渡ろう |
イエス様は言われます、 |
「向こう岸に渡ろう」。 |
大勢の群衆を残して、イエス様は向こう岸に向かわれます。 |
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イエス様を行かせまいとする力が働きかけてきました。 |
突風を吹かせ、舟もろともイエス様を湖の底に沈めてしまおうとしたのです。 |
けれどもイエス様は「黙れ、静まれ」と言われ風を静められました。 |
イエス様の行く手を阻むことができるものは何一つありません。 |
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●汚れた霊に取りつかれた人 |
向う岸に着かれたイエス様のところに、すぐひとりの人がやってきました。 |
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この人は墓場を住まいとしていました。 |
人々は度々足枷や鎖で縛りましたが、鎖を引きちぎり足枷も砕いてしまいます。 |
昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていたのでした。 |
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イエス様はこの人の叫びを向う岸で聞かれたのです。 |
イエス様は来られました。 |
この人のために来られたのです。 |
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●汚れた霊を追い出される |
イエス様はこの人としっかりと向かい合われます。 |
この人をこんなにも苦しい状態にさせているものと対決されます。 |
それをここでは汚れた霊と言い表しています。 |
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イエス様は「汚れた霊、この人から出て行け」と言われました。 |
すると汚れた霊が言いました。 |
「いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい。」 |
「かまわないでくれ」というところを、口語訳では |
「あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。」 |
と訳しています。 |
「わたしはわたし、あなたはあなた」ということです。 |
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「いと高き神の子イエス」とイエス様をわかっていながら、関係を拒絶するの |
です。 |
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イエス様に対して「あなたはわたしと関係ない」と言うものはすべて汚れた霊 |
です。 |
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イエス様から名前を聞かれて「レギオン」と答えています。 |
レギオンはローマの軍隊の単位で5600の兵力を表わします。 |
おびただしい数の汚れた霊がこの人を苦しめていたのでした。 |
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名を知られることは、相手に支配されるということを意味しています。 |
汚れた霊はイエス様に「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願いました。 |
イエス様がお許しになったので、汚れた霊達はこの人から出て、豚の中に入り |
ました。 |
すると2000匹ほどの豚の群れが崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々 |
とおぼれ死んだのでした。 |
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こうしてレギオンに取りつかれていた人はすっかりよくなって、苦しみから解放 |
されたのでした。 |
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●汚れた霊から解放された人 |
長い間苦しんできたこの人は、新しく生まれ変わったような気持だったでしょう。 |
ほーと息をつき、イエス様の前に静かに座っています。 |
疲れ切っていた体に暖かいものが満ちてくるのを感じていたでしょう。 |
心はイエス様への感謝で一杯です。 |
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●ひとりのために来られるイエス |
イエス様はたったひとりのために、来てくださるお方です。 |
わたしひとりのためにイエス様は来てくださいます。 |
イエス様にとって、ひとりの存在はとても大きいのです。 |
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この世は、偉い人とか、たくさんの人が声をあげれば人が動くという世界です。 |
ひとりの声など、多数の中でかき消されてしまいます。 |
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自分の苦しみ、悲しみにだれも気付いてはくれない。 |
ただひとり、押しつぶされそうな状況の中で我慢しています。 声をあげること |
ももうやめてしまいました。 |
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でもイエス様は違うのです。 |
イエス様には、人には聞こえない、声にならない叫びが聞こえるのです。 |
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その人はイエス様に求めて叫んでいるのではありません。 |
だれに叫んでいいかもわからないで叫んでいる、その叫びをイエス様はご自 |
分への叫びとして聞き取ってくださるのです。 |
そして来てくださるのです。 |
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そのようにして、地上に生きられたイエス様はひとり、またひとりと出会い、 |
癒し救ってくださいました。 |
今も、イエス様はそのようにひとりひとりに出会ってくださいます。 |
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イエス様はひとりのために来てくださいます。 |
わたしの、あなたの、ひとりの苦しみ、悲しみに寄り添い、癒してくださるのです。 |
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●人々 |
ところで、ひとりを救われるイエス様の出来事は、人々の目にはどのように |
写ったでしょうか。 |
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人々はこの人に手を焼いていました。 |
この人を汚れた霊から救ってあげることなど出来ないのです。 |
だからといって、この人を縛り付けておくことも出来ませんでした。 |
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この人々に最初に届いた知らせは、豚2000匹が崖を駆け下りて湖になだれ |
込んでおぼれ死んだということです。 |
豚を飼っていた人達が青くなって知らせに来たのでした。 |
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何人かの人達が、何事が起こったのかと見に行き、レギオンに取りつかれて |
いた人が服を着、正気になって座っているのを発見したのでした。 |
この人達が町に帰って人々に悪霊に取りつかれた人の身に起こったことと豚の |
ことを話しました。 |
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すると人々はイエス様に自分達のところから出て行ってもらいたいと言いだし |
たのでした。 |
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●恐れる |
自分達ではどうすることも出来なかったことが、解決したのです。 |
「よかったね」「これで安心だ」と癒された人と手を取りあって喜び、イエス様に |
感謝するはずではないでしょうか。 |
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イエス様をあがめ、私達のところに是非居てくださいとお願いするはずでは |
ないでしょうか。 |
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ところが人々は恐ろしくなったのです。 |
偉大な業をなさる神様への畏敬の念でしょう。 |
その畏敬の念の中には、神様は恐ろしいことをされる、という恐れも含まれて |
います。 |
豚2000匹が死んだのです。 |
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●私達 |
このことについては、正直私達も引っかかりを感じます。 |
豚飼いは莫大な経済的損失を被ったのです。 |
なぜイエス様はそれを良しとされたのか、納得がいきません。 |
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私達も町の人々と同じ考えを持っているわけです。 |
イエス様がよいことだけをしてくださるなら大歓迎、でも少しでもマイナスが |
降りかかってくるなら御免被りたい、と思う私達です。 |
私達もイエス様に出ていってもらいたいと言う者です。 |
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「これは「イエス様、わたしにかまわないでください。」「あなたはわたしと |
なんの係わりがあるのです。」と言うことでしょう。 |
これは汚れた霊が言った言葉ではありませんか。 |
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●託された使命 |
イエス様は、出て行ってもらいたいと言う人々の言葉に、汚れた霊が言う言葉 |
を聞かれたのです。 |
人々が自分自身全く気付いていない魂の叫びを聞き取られました。 |
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イエス様は汚れた霊から解き放たれこの人を、ひとりこの地に残されます。 |
イエス様と一緒に行きたいと言うこの人に、 |
「自分の家に帰りなさい。そして身内の人に、主があなたを憐れみ、あなたにし |
てくださったことをことごとく知らせなさい。」 |
と言われました。 |
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この人にイエス様は大切な使命を託されたのです。 |
このひとりによって、イエス様の福音は、この地の人々に伝えられるのです。 |
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●私達のところに |
イエス様は、私達ひとりひとりの叫びを聞いてくださっています。 |
イエス様はひとりのために来られます。 |
イエス様は私達ひとりひとりを救ってくださいます。 |
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イエス様は私達を救うためにご自分の命を犠牲にされたのです。 |
私達をご自分の命を捨てて救ってくださるのです。 |
それほどに、ひとりひとりをかけがえのないものと思ってくださっているのです。 |
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●私達の使命 |
ひとりのためにイエス様は来てくださいました。 |
ひとりを救ってくださいました。 |
私達はそのひとりです。 |
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イエス様は私達ひとりひとりに使命を託しておられます。 |
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私達のまわりにはたくさんの叫び声が上がっているではありませんか。 |
その多くは、人の耳に届かない叫びです。 |
声にならない叫びもあります。 |
自分自身で気付いてさえいない叫びもあります。 |
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でもイエス様にはみんな聞こえています。 |
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イエス様は私達に言われます、 |
「主があなたを憐れみ、あなたにしてくださったことをことごとく知らせなさい」。 |
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●結語 |
わたしのために来てくださったイエス様。 |
わたしを救ってくださったイエス様。 |
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「あなたのためにイエス様は来てくださっていますよ」とわたしたちは話して |
いきます。 |
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